〜東京メトロ(←営団地下鉄)〜


 営団地下鉄の正式名は、「帝都高速度交通営団」です。その始まりは、昭和2(1927)年12月のこと、 現在の銀座線浅草−上野間の開業からです。当時は「東京地下鉄道」という名前で、当然日本では 最も古い地下鉄です。現在は8路線、営業キロは174.7kmにおよび、また保有車両数も2400両を超えます。
 営団地下鉄では、トンネル内の温度上昇防止などの観点から、早い時期から車両の高性能化に 取り組んでいて、チョッパ車やVVVF車の比率が非常に高いのが特徴です。また、比較的遅れていた 車両の冷房化は、96年度の丸ノ内線をもって100%達成となっています。
 2004年4月、営団地下鉄は政府と東京都が出資する株式会社になり、社名が「東京地下鉄株式会社」となりました。 愛称も「東京メトロ」へ変更されています。
01系37番編成 01系(三菱VVVF)[tr01ma.ra/150KB]
01系(東芝VVVF)[tr01sa.ra/153KB]
 最初に、ちょっと銀座線用01系について簡単に説明しておきましょう。
 1982年に銀座線の近代化計画が具体化し、その一環として旧型車を置き換える目的で01系が誕生する こととなりました。制御装置は、GTO素子を利用した回生ブレーキ付き高周波分巻チョッパ装置という ものになりました。当時は、誘導電動機を制御するためのGTO素子がまだまだ高価であったこと、容量 的にも不足していたことから、こうなったのでしょう。登場年は1983年です。
 車体はアルミ合金を採用し、全体的には直線が強調された感じになっています。なお、車体長は16mで あり、営団地下鉄ではもっとも小型の車両です。1990年登場の2次車から、はじめから冷房搭載で 登場し、非冷房で登場した試作・1次車もその後改造されて、1995年夏に冷房化100%を達成しています。
チョッパ車からスタートした01系ですが、その後の増備過程で平成2年度の南北線9000系を皮切りに、 営団でもVVVF車両が導入されました。そして素子がGTOからIBGTに移り、銀座線の増発用として増備 された5次車・6次車ではIGBTを利用したVVVF車が導入されています。現在は6連38本が在籍しています。
01系38番編成  1993年度に増備された37番編成は、三菱製のVVVF装置を積んでいます。モータも三菱のものです。 また1997年度には最新編成である38番編成が増備され、これは丸ノ内線02系の最終増備車にも 搭載されたものと同じ東芝製のVVVF装置を積んでいます。ともに、IGBT素子を利用していて、 1C2Mとなっています。
 三菱のVVVFのほうは、いわゆるソフト変更前のタイプで、02系三菱VVVF車も登場時はこれと同じ音が していました。02系三菱VVVFの方は現在はすべての編成がソフト変更を受けているため、これと同様 の音が聞けるのは他に07系三菱くらいです。

02系43番編成 02系(三菱VVVF)[tr02ma.ra/200KB]
02系(日立VVVF)[tr02ha.ra/192KB]
02系(東芝VVVF)[tr02sa.ra/203KB]
02系(支線・三菱)[tr02mha.ra/182KB]
 02系は、丸ノ内線の車両として、1988年に登場しました。銀座線の姉妹車という位置づけで、 銀座線の車両が線路がつながっている中野検車区で検査をするためか、できるだけ仕様を 01系と同一にして登場した車両です。車体は01系と同じアルミ合金製ですが、側面のラインカラーは 銀座線車両と見間違えないようにという配慮から、窓の上にも細いラインが入っているのが特徴です。 また、客扉幅は100mm広げられ、1400mmとなっています。
 制御装置は、これも01系と同じもので高周波分巻チョッパを使用しています。01系と比較して決定的に 異なるのはブレーキ装置で、均一ブレーキの01系に対して02系ではT車遅込めブレーキを採用して います。これは、回生ブレーキを最大限に活用するためのものでした。
 02系は、1992年度増備の5次車の後半から、具体的には1993年登場の20番編成からIGBT素子を利用した VVVF装置が採用されています。このときから1994年前半にかけて登場した42番編成までが三菱製 のVVVF、1994年後半の43番から49番までは日立製のVVVF、そして、1995年に入ってから登場した 50番から53番までは東芝製のVVVFを搭載しており、いずれも1C2Mのタイプです。 02系は6連53本、318両をもって本線の増備は完了しています。
 最後に、方南町支線に残った500形を置き換えるために、1996年7月に3連6本を増備し、丸ノ内線は 02系で統一されると同時に、最後まで残っていた非冷房車が廃車されたことで冷房化100%、しいては 営団全線冷房化100%を達成しました。
02系86番編成  20番編成から42番編成までを占める三菱製VVVFのグループですが、現在は1997年夏にソフト変更を 受けてしまい、音が変わっています。時期がちょうど支線の80番代の登場と重なり、そちらも三菱 のVVVFを搭載していますので、その絡みと思われます。なお、ソフト変更前の音ですが、幸い手元 に残っており、記録も見つかりました。近いうちに公開する予定です。ソフト変更前の音は銀座線 01系37番編成とよく似ています。現在の音は三菱IGBT標準の音です。
 43番から49番までの日立製VVVFのグループは、インバータから聞こえてくる音がひじょうに静かで す。これと同じ音は日比谷・千代田・有楽町・南北線で聞けます。
 50番から53番までの東芝製VVVFのグループは、東芝製のVVVFを積んでいる05系や06系とほぼ同じ音 がします。若干非同期のところが聞こえづらい面はありますが、同じと見ています。
 支線の80番代は三菱VVVFを搭載していますが、MT比を本線の1:1に揃えるために、1.5M1.5Tという 珍しいMT比となっています。具体的には1・2号車がM車なのですが、1号車の先頭台車がT車となっ ています。また、この番代は前面窓上の飾り窓が省略されたり、側面の窓上のラインカラーも省略 されています。さらに車内は自動放送および車内表示器が搭載されていないなど、コストダウンが はかられている車両です。さらに、運転台に目を向けると、02系唯一のワンハンドルです。

03系 03系(日立VVVF)[tr03ha.ra/160KB]
03系(三菱VVVF)[tr03ma.ra/153KB]
日比谷線用の03系は、ゼロシリーズの中では初の架空電車線方式の車両です。1次車の登場は1988年で すが、まだVVVF装置は採用されず、01系から続いてきた高周波分巻チョッパ制御が使われています。 01・02系と異なり1500V車であるため、チョッパの仕様が少し変わり、それに伴って音も変わりました。 個人的にはチョッパの中ではこの部類の音が好きですね。なお、車体は18m車です。
 なお、この03系で初めて車内案内表示器にフリーパターン式のLEDが採用されたほか、客扉幅は 1400mmとされています。また、03系の最大の特徴として、1991年増備の9番編成から1993年増備の 28番編成までは編成の両端2両ずつを5扉車として、ラッシュ時の乗降時間短縮に役立っています。 制御装置がVVVFとなったのは、1993年増備の26番編成からで、この年度末に増備された35番編成ま でが日立のVVVF、1994年度に増備された36番から最終の42番編成までが三菱のVVVFを搭載していま す。両方ともにIGBT素子を利用したものです。
 日立製のVVVFを積んでいる26番から35番の編成は、非常に静かです。VVVFとしては、もっとも 静かな部類に入るほど静かです。また、三菱製のVVVFを積んでいる36番以降の編成は、音は三菱 IGBT標準なのですが、モータのメーカが三菱ではありません。おそらく日立製と思われます。

05系 05系(東芝VVVF)[tr05sa.ra/191KB]
 東西線用の05系は、在来車である5000系の置き換えを目的に、1988年に登場した車両です。 当時は東西線の10連化で車両が不足し、1987年からこの05系が登場するまでの間、半蔵門線から8000系 10連3本を借り入れていました。1次車は10連3本でしたので、これについては、8000系を半蔵門線に 復帰させるために登場させたといってもいいでしょう。
 制御装置は、03系とほぼ同じで高周波分巻チョッパでしたが、1991年度増備の4次車・14番編成では 三菱製GTOのVVVF装置が採用され、4M6Tとなりました。この編成は南北線に入っている三菱GTO量産 グループと同じものを積んでいます。なお、このVVVFは1C4M2群制御です。その後、1993年増備の 6次車からはIGBT素子のVVVFとなり、制御方式も1C4Mから06・07系と同じ個別制御となりました。 メーカは東芝製のものです。最終の24番編成は廃車になった5000系5453号車のアルミをリサイクル して造られた編成で、前面に「Al」のステッカーが貼られています。

06系 06系[tr06a.ra/198KB]
 1993年の千代田線輸送力増強のために1992年に登場した車両で、現在10連1本のみの存在です。 同時に登場した07系とともに、営団では初めてIGBT素子を使用したVVVF車です。当時は、IGBT車なんて 他にいたかな?という時期でしたので、おそらく国内では初めてだったのでしょう。このページの データ量が増えていけば、示せることだと思います。
 VVVFのメーカは東芝製です。営団では01系や05系などで聴くことができるタイプです。車内は 6000系のそれとはうってかわり、デザイン面でも大きく更新されています。なお、小田急線にも 入線できるのですが、現在までに営業運転では入っておりません。近々、06系がもう1本増備さ れますので、そのときに実現できればいいな、と個人的に思っています。
 それにしても、1本しかいませんので、なかなか当たらない車両です。

6000系6101F 6000系(改造・三菱)[tr6000ma.ra/195KB]
6000系(改造・日立)[tr6000ha.ra/163KB]
 千代田線用の6000系は、当時の最新技術を積極的に取り入れた車両で、初のチョッパ装置の 搭載や、アルミ車体の採用など今までの概念にとらわれない新しい発想で1968年に1次試作車が 登場しました。現在は「ハイフン車」と呼ばれている3連の編成で、この編成はその後有楽町線の AVFチョッパの試験や、試作VVVF装置の試験も行ないました。1979年に北綾瀬支線が開業し、抵抗制御に改造されて現在は 5000系3連2本とともに、この一駅区間を行ったり来たりするだけの運用に付いています。
 1969年に2次試作車、現在の6101Fのうち6両が登場、71年に中間4両が登場しました。この編成は 後の量産車と比べてM車配置が異なること、制御装置のメーカが日立と三菱の両方あることがあげ られます。1970年からは量産車の増備が始まりましたが、21番までの編成は二相と三相の2タイプの チョッパが存在し、4次車・22番編成以降は逆導通サイリスタのチョッパが搭載され、さらに最終の35番編成は GTOサイリスタを使用したチョッパが搭載されていましたが、1990年から3次車・21番までの編成について 35番編成と同じGTOサイリスタチョッパへの更新が始まり、さらに1994年度からはIGBTのVVVFに更新 内容が変わり、現在のところ非常に複雑な構成となっています。
6000系6104F  三菱製のVVVFに載せかえられた編成は、94年度改造の9番、95年度改造の4・16・21番編成、 97年度改造の18・20番編成がこれに該当します。6000系では21番編成を除いて、VVVF更新と 側面窓の更新が同時に行なわれているため、VVVF車であるかないかの区別は容易にできます。 この三菱製インバータは、とてもIGBTとは思えない大きな音を立ててくれるのですが、 あまり変調しないせいか、空転には強いみたいです。なにしろ、上に掲載している音は、 98年の大雪のまさに吹雪いているときに収録したのですから・・・。
聞いてみると分かりますが、まったく空転・滑走をしていません。同じ時間帯に収録した JR207系900番代は、目を覆いたくなるような音を出していましたからね。
 日立製のVVVFに載せかえられた編成は、96年度改造の2・14・19番編成が該当します。 こちらは、他の路線でも聞くことのできる、とても静かなタイプです。
 これからもVVVF改造は行なわれていく見込みで、未更新チョッパの車両がいつまで残るか 興味深いところです。

07系 07系(三菱)[tr07ma.ra/188KB]
07系(日立)[tr07ha.ra/183KB]
 上に述べた06系と同時期に登場した有楽町線用の車両です。 6000系と7000系が同じデザインだったように、20年経った後の06系と07系でもやっぱり兄弟関係で、 車体のデザインや内装のコンセプトは色づかい を除けば共通となっています。しかし、制御装置のメーカは異なっていて、92年登場の1次車10連 2本は三菱のVVVF、94年登場の2次車10連4本は日立製のVVVFを搭載しています。ともに個別制御の IGBTとなっています。
 1・2番編成では、三菱製VVVFを使用しています。音はいわゆる「ソフト変更前」の音で、 以前は02系でも聞けた音と同じ分類です。なお、モータも三菱製なので、爆音が激しいのが 特徴です。
 3〜6番編成では、日立製VVVFを使用しています。高い音から入る日立IGBT特有の音で、 営団各線で聞かれる音と同じです。MDデータではきれいに入るのですが、real形式にしたときに 高い音が聞こえにくくなってしまうのが残念です。

7000系 7000系(三菱)[tr7000ma.ra/199KB]
7000系(日立)[tr7000ha.ra/189KB]
 有楽町線用の車両として、1974年に登場しました。開業当時は5両編成で、後に10連に増結 した関係から、同じ編成の中で二段窓と一段下降窓が混ざっていたり、その二段窓が一段下降窓に 改造されたりと、編成内で複雑さを極めています。その結果、VVVF更新車であるかどうかの区別が 付けられなくなっています。
 制御装置は、6000-1編成で試験したAVF(自動可変界磁制御)チョッパとなりました。また 乗り入れ会社が異なるため、無線装置の種類が異なりますが、7000系は6000系と同じく綾瀬車両 基地で全検と重要部検査を行なうために、基本的には6000系と同じ仕様になっています。
 今までの更新工事は側窓の変更、行き先表示器のLEDへの変更、自動放送の搭載などに限られて きましたが、1996年度からは制御装置の更新も始まりました。96年度には2・6番編成がこの更新 を受けともに三菱製VVVFに、97年度は12番編成が更新され、こちらは日立VVVFが搭載されています。  三菱製VVVFの編成は、6000系とはちょっと異なった音を出しますが、日立製VVVFの編成は他の 路線とまったく同じ音です。なかなか収録するのに苦労するタイプですね。

9000系 9000系(三菱GTO量産)[tr9000mb.ra/213KB]
9000系(日立GTO)[tr9000hb.ra/210KB]
9000系(日立IGBT)[tr9000ha.ra/250KB]
9000系(三菱IGBT)[tr9000ma.ra/217KB]
 南北線は営団地下鉄の中では最も新しい路線で、1991年11月に赤羽岩淵〜駒込間が部分開業しました。 その後、1996年3月には駒込〜四ッ谷間が、1997年9月には四ッ谷〜溜池山王間が開業し、現在の 形になっています。
 この南北線用として、将来の東急目蒲線および埼玉高速鉄道乗り入れを考慮した9000系が登場 しました。なぜかゼロシリーズにならなかった、不思議な形式でもあります。
 1990年11月に、試作車第1編成4連1本が搬入され、91〜92年にかけて量産車4連7本が搬入され ました。当時は、すべてGTOサイリスタを用いたVVVF装置を搭載していて、1番編成が三菱のVVVF、 2〜4番編成が日立のVVVF、5〜8番編成が三菱のVVVFを積んでいました。
 三菱GTOは、後期のほぼ標準的な音、日立GTOも標準型の音です。
 96年3月の四ッ谷延伸を前に、9000系は4連から6連に組み替えられましたが、新製する中間車の VVVF制御方式はIGBTとすることになっていたため、偶数番編成の電動車ユニットを奇数番編成に 組み込み、同時に改番を行なっています。ユニットが抜けたところにはIGBT素子使用のVVVF中間 車を差しこみましたが、その時増備されたのはすべて日立IGBTで、完全新造の編成も5本あったた めに現在ではこれが最大勢力となっています。この結果、1番編成では音が異なる電動車が隣り合 っているという状態になっています。 これは、東急目蒲線乗り入れ時に付随車を2両挟むまでの間、聞くことができます。
 また、97年9月の溜池山王延伸のときに、6連2本が新造され、ともに三菱IGBTが搭載されました。 この結果、現在は
▼三菱GTO+日立GTO:1番編成
▼日立GTO:3番編成
▼三菱GTO:5・7番編成
▼日立IGBT:2・4・6・8および、9〜13番編成
▼三菱IGBT:14・15番編成
という、なかなか複雑な編成となっています。
 南北線はATOとホームドアを設置しているのが特徴で、現在は9000系の素顔を見ることができません。 まあ、それでも京都市交通局50系よりはまともに写っていますが・・・
 なお、日立GTOの音は松井啓祐さんが収録してきてくれたものです。


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(C)音鉄館/OTOTETSU-KAN/おとてつ 1997-2009 作成:1998年5月10日 最終更新:2009年1月25日
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